外は今日も雪……あれからずっと、雪は降り続けている。
僕は薄暗く、肌寒い部屋の片隅にうずくまっていた。
微かな雪の音と、僕の息づかいの他には何も聞こえない――
僕は壁に立てかけてあった剣を抜いた。
雪明かりに照らされて光る刃。
僕はこの刃で何人の人間を殺めただろう?
幾度血を洗い落としても、この剣にこびりついたまま――
拭い去ることは出来ない 怨念の血
(知らないということはそれだけで罪だわ!)
(おまえの兄たちが争いを起こしたくないだと?おまえはどこまで幸せなヤツなんだ!)
兄さんたちが戦争を望んでいる……?じゃぁ、あれらのことはすべてそのために?
ティータが死んだのも、エルムドア侯爵が誘拐されたのも、すべて?
(おまえたち苦労知らずのガキどもにオレたちを倒せるものかッ!!)
(あなたが当然と思う世界はあなたに見える範囲だけ。でも、それだけが世界じゃない)
(利用されるだけだと?おまえは、“親友”と称するディリータでさえ利用してきたんだ!)
僕はいったいなんなんだ?
大した苦労もせずに狭い世界しか知らず、毎日のうのうと暮らし――――
それだけでいったい何人の人間を傷つけたんだ!?
親友のディリータさえも利用して……僕は……!
真実を、さがさなきゃ――――
僕は結っている髪を握り、もう一方の手で持っていた剣に
必要以上に伸ばしたその髪を押し当てた。
ばさり
小さな音を立てて切り離された髪は、僕の膝の上にはらはらと落ちた。
そして僕は剣を鞘に収めて、倉庫に眠っていた鎧を身につけ旅の支度を整えた。
真実を突き止めなきゃいけない。
今の僕に必要なのは、すべてを知る強さと勇気と……仲間だけ。
北天騎士団にもここにも、もういられない。
すべてを棄てよう。
ベオルブの名も、地位も、すべて。
そうでもしなければ、真実は見つからない。
「みんな、行こう」
「行こうって…いったいどこに?」
「真実をさがしにさ。この目で確かめなきゃいけないことがある。
ウィーグラフの言っていたことは本当なのか、それともただの虚言なのか。
何故ティータが殺されなければいけなかったのか、兄さんたちは
何をしようとしているのか――
全部、この目で確かめなきゃいけない」
「…もう決めたんだろ?止めたって無駄みてえだな」
「こうなったらあんた、てこでも動かないものね。地の果てまでお供してあげるわよ」
「ありがとう。君たちが僕の仲間でいてくれて、よかった」
「な、なんだよ突然。はっずかしいな〜」
そう言って、みんなは照れていたけれど。
こうした仲間がいること。その暖かさが今、あらためて身に染みていた。
あの肌寒さなんて、もうどこかへ消えてしまっていて――
お先真っ暗ではあるけれど、僕には暖かく、心強い仲間がいる。
…本当は、今この場にディリータがいてくれればもっと心強いんだけれど。
総勢10名の戦士を乗せたチョコボ車は、冷たい雪の上を全速力で走り出していた。
戻。